今回はひさしぶりにリールメンテナンスの記事です
スピニングリールネタです
なかでも度々論争になる“クリアランス調整”について筆者の私見を解説していきたいと思います
ネット上でも色々な情報があるので、考え方の一つとして参考にしてみてください
クリアランス調整とは
スピニングリールならではの作業
ドライブギアの軸にワッシャを増減させる
■理由■
ギア交換、ベアリング交換、ボディ交換など
これらは精密に造られてはいますが“公差”が存在します
この公差によって生じる隙間を、極薄ワッシャを用いて調整する必要があります
次のような値の範囲を公差または許容差と呼ぶ。
物理的な寸法や面積
原料、製造物、システム、サービスなどの測定値や物理的特性
その他の測定値(温度、湿度など)
物理的な距離や空間(貨物自動車、列車、橋の下のボート、トンネル内の列車など)建築限界と車両限界を参照。
寸法や特性や条件は、装置やプロセスの機能に大きく影響することなく一定の実用的範囲内で変化する可能性がある。性能を損なわずに固有の変動性と不完全さに対する妥当な余裕を許すべく、公差が指定される。(ウィキペディアより引用)
またギアの摩耗が進行した時も、ギア交換しない場合は調整が必要になる場合があります
・隙間が大きい
接地面が減り、巻きは軽くなるがガタつきが気になりやすい
・隙間が小さい
接地面が増え、しっとり感は出るが巻きが重くなる
これらをリールの状態によって調整します
クルマのデフ調整を例に
クルマのデフのバックラッシュが、個人的にわかり易いと感じているので例に挙げてみます
クルマの場合はケースから見えた状態で調整し、光明丹という染料を用いて可視化出来るのもわかり易いです
プロペラシャフト側の回転がピニオンギア
ドライブシャフト側の回転がドライブギア
という具合です
歯当たりを適正にすることで、本来の性能を発揮することができます
調整は基本的にX方向(横軸)で行い、Y方向(縦軸)への当たり面を決定します
”隙間を調整することで、ギアの接地面を適正に保つ”
結果、スピニングリールにおいては巻き心地などに影響します
それでは実際にリールでやってみます
やり方
やり方はいたって簡単で、オーバーホールできる人ならすぐに出来ます
軸のワッシャの増減を根気よく行うだけです
シマノ社もダイワ社もドライブギア(左ハンドル側)の軸にワッシャを増減させて行います
※ダイワ社のリアルフォー系は、エンジンプレート側でも調整が出来、整備性が良いです
座金をここに入れます
多すぎても少なすぎても後々面倒なので、塩梅をみて入れる枚数を調整します
この辺は経験なので、回数をこなしてみましょう
ダイワ社のリールはボディの固定ボルトとエンジンプレートのボルトを規定トルクで締めないと、ワッシャの過多が分からなくなってしまうので注意です
ピニオンギアを回して確認します
※最終的にはローターナットを締め付けないと、具合が分からないので参考として確認します
この状態でギアノイズが目立つようではクリアランスが狭いです
逆にクリアランスが広いと回転は軽くなります
センター出し·芯出しについて
ネット上によく落ちている情報ですが…
筆者は“やらない派”です
ここは考え方次第なので、賛否両論あるかと思いますのでご容赦ください
『回転の軽さを求めるために、締め付けトルクをバラバラにする』
-か?と考えています
先ほど例に挙げたクルマのデフでは絶対にやらない行為です(危険です)
他にも…クルマのクランクシャフトの回転を優先させて、締め付けトルクを無視するか?
これもやらないですよね
作業台上の“無負荷状態の回転軽量感”は実釣時に意味がないと考えています
実釣時にはリールボディに応力が掛かるので、目に見えない歪みが生じます(樹脂ボディなら尚更)
またワッシャの調整をする度に各部の締め付けトルクがバラバラになるので、基準が取り難く筆者にはとても管理できないです
第一に“メーカーやショップのプロが発信していない”ことが全てだと思います^^
まとめ
いかがだったでしょうか
少しマニアックな“クリアランス調整の役割”を解説してみました
以前にブログにコメントをいただいた時に…
『ワッシャ調整は味付けみたいなもの』
ーと言ったことも、整備には他の要素の方が影響が大きいという意味合いです
しかし、自己責任でリールのメンテナンスや調整を行うことも愉しみの一つです
色々な考え方を理解して、自分好みに合わせてリールを仕上げてみてください^^
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