今回は私が普段リールメンテナンスで使用しているグリスの特徴を紹介したいと思います
(リールのメインとなるギアグリスを主眼にしています)
前回のグリスの基本を理解した上で、ご覧いただけるとより分かり易いと思います
まだご覧になっていない方はよろしければそちらもご覧ください
↓↓グリスの基本特性について↓↓
※エリアトーナメントなどで使われる小型スピニングリールの”グリスレス仕様”や”軽巻き”を求めた極端なチューニングは筆者の担当外です(汗
求められる性能
オフショア用スピニングリールに求められるグリス性能は…
1.耐圧性
2.耐水性
3.防錆性
4.耐熱性
5.安定性
6.巻き心地
おおまかにこんなところでしょうか
とくに私は1~4を重視して選ぶ傾向にあります
正直、巻き心地は釣果には直結しないので…
それよりもギア類を保護できる方が、釣果もライフサイクルでも良いものと考えています
考え方としてはモータースポーツにおけるエンジンオイルと同じ方向性です^^
おすすめグリス一覧表
品名 | ちょう度 | 基油 | 増ちょう剤 |
シマノ純正 DG-06 | 0 | 鉱油 | ? |
シマノ純正DG-13 | 2 | 鉱油 | ? |
ナスカグリースEP(ソフト) | 0 | 鉱油 | カルシウム複合 |
ナスカグリースEP(ミディアム) | 1 | 鉱油 | カルシウム複合 |
ナスカグリースEP(ハード) | 2 | 鉱油 | カルシウム複合 |
ボアード アルファ | 1 | 合成炭化水素油 | ウレア |
ボアード デルタ | 2 | 合成炭化水素油 | ウレア |
スーパールーベ(潤滑グリース) | 2 | シリコン系合成油 | PTFE |
筆者調べでは、上記のようなデータとなっています
単純にリスト通り、数字通りなら話は早いのですが…
リールという工業製品は人間の感性が出やすく”フィーリング”という厄介な指標があり、額面通りにいかない悩ましさがあります…
しかもグリスのちょう度(粘度)は規格の範囲が広いので、毎回同じとはいかない点も悩ましいです
シマノ純正グリスの特徴
〇滑らかさが抜群
〇温度変化が少ない
✖熱垂れし易い
非常にバランスの良いグリス特性で扱いやすく、純正採用されていることにも納得の性能です
■シマノ スプレーグリス■
主にベアリング充填グリス専用として使っています
スプレータイプで希釈されており、ちょう度0よりも軟らかいグリスなので低負荷な個所に用います
※ダイワ社にも同様のスプレーグリスがありますが、パシャパシャ過ぎてグリスとして使い物になりません
ナスカグリースEPの特徴
〇高負荷に強い
〇熱垂れに強い
✖巻き心地は今ひとつ
✖冷間時に巻きが重い
使い分けは通年ならミディアム、夏季特化ならハードといった感じです
知人の相模湾マグラーのメンバーにはすべてこのナスカグリースEPで仕上げており、その耐久性に太鼓判をもらっています
スーパールーベの特徴
〇超万能性能でどこでも使える
〇安定性が高い
✖巻き心地は今ひとつ
ネットでも評価の高い超多用途グリスです
銘柄に迷ったらこれで良いです。高性能&低価格が魅力です
ボアードの特徴
〇高負荷に強い
〇巻き心地が良い
✖高価な部類
最近、筆者の中でブームのグリスです
高負荷時の巻き心地が非常に滑らかで、ガンガン使える耐久性と巻き心地を両立しています
耐久性に関してはまだ数か月ほどしか経過していないので、これからに期待しています
十人十色・一長一短
どのグリスもそれぞれキャラクターがあり、それぞれが光る部分が違うので何を重視したいか?で良いグリスの判断が分かれます
今のところすべてが一番というグリスには出会っていないので、もしそんなものが作れるとしたら…ワクワクしますね^^
私の周りではハードにリールを酷使する人が多いので、耐久性重視で”ナスカグリースEP”を使用することが多いです
使用頻度が少なく、巻き心地を重視する人は”シマノ純正グリス”を使うようにしています
まとめ
レギュレーションの厳しいモータースポーツなどではエンジンオイルの性能で勝敗が決まることもあり、マシンに対しての性能向上や耐久性の恩恵があるケミカルです
釣りにおけるリールも同じように整備すると、釣りの楽しみ方が広がります^^
リールメンテナンス業もやっています^^
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