年も明けすっかり冬の風物詩的な存在になったビンチョウマグロ
初心者でも釣りやすいマグロ族ともあって、年々人気がうなぎ登りになっています
人気が集まることで、様々な情報がネット上に飛び交うようになりました
人気に肖ったアフィリエイターの記事もあって、内容のいい加減な内容のものもチラホラ…
ーと、今回はそのネット情報について、ちょっと辛口に解説していきたいと思います
巷の計算式
トンジギが語られる上で釣り方のキモとなる部分が”ライン角度”です
多くのトンジギ船はドテラ流しで狙うため、ラインが斜めに払い出します
またマグロ族をジギングで狙う場合は、回遊している泳層でジグをアピールする必要があります
ラインが斜めになっていると額面通りの数字では釣りの精度が落ちてしまいます
ライン角度から放出すべきラインの長さを正確にする必要があります
そのライン角度は”三角形の定理”で算出することが出来ます
45°=√2:1:1
水深100mの場合、上記のライン角度において出ているラインの長さが算出できます
30°=約115m
45°=約140m
60°=200m
おー、なんかもっともらしくて釣れる気になってきます
これなら出ているラインの長さを見れば、タナボケしませんね
でもこれって…大事な部分が抜けていますよね

ちなみに筆者の算数能力に過大な期待はしないでください(笑)
何か忘れていませんか?
当ブログでも口を酸っぱくして発信しておりますが…
『水中の潮の流れ』
ラインがいつでもどこでも真っ直ぐになるーというのは釣り人側の勝手な解釈です
ーというか、ラインの角度は船も波も動いているので…正確に分かる筈がないです(汗)
水圧と水流の罠
水中の潮の変化に気付けないアングラーが多い原因は…
“水圧”と”水流”です
です

例えばこういう場合
放出ライン100m以上、PE3~5号、ラインに掛かる水圧は相当なものです
そしてマグロが釣れるエリアは外洋に近く、海流も早く二枚潮・三枚潮なども重なり複雑になっています
この大きな水圧と水流こそがジグを“動かしている感”に繋がり、ジグが動いていないのに「シャクれている」と錯覚させてしまいます

サミングでテンションを掛けるのも重要
フォール中に糸フケが大量に出た状態でいきなりシャクリだしても、弛んだラインを引っ張っているので実際にジグはほとんど動いていません
これでは効率的な釣りとは言えません
せっかく算出したライン角度と放出量の数字も無になってしまいます

注意深くシャクることで、ジグからの情報を感じ取ることが出来ます
糸フケの取り方
例え重いジグを使っても、フォール中のサミングを強めても…ある程度の糸フケは発生してしまいます
まずアングラーが現場でやらなければいけないことが…
“潮を測る”ことです

筆者は一投目や流し直し時にはワンピッチジャークで全層を通して、潮の加減をサーチしています

赤線の潮の弛みはイメージです
一例)
仮に指示ダナ80〜110mの釣り場で、釣りを開始したとします
↓
とりあえず水深+10mのライン放出量でクラッチを入れて、リールを巻きます
↓
この時にジグの重さが伝わるまで、シャクリってはいけません
↓
仮にジグの重み※1を感じるまでに20mが必要だったーとすると…
ジグの位置は”120m−20m=100m”
※1重みを感じたということは、ジグとラインが直線に近い状態になったということです
↓
ライン放出は120mだったが、ジグがあったのは水深約100m付近だったので、タナの下側まで探れていないことが判明します
↓
それを逆算すると…
さらに+10〜20mはラインを放出しないと、角度30°指示ダナ110mから探れないことになります
※ラインの角度はこのジグの重みを感じてからのものを基準にする必要があります
なるべく分かり易く順序立てているつもりですが、なんとなく内容は掴めましたでしょうか?
計算がややこしい
このことを踏まえて、ライン角度に話を戻します
・指示タナが100m
-と言われた場合に出されているラインは、計算上2:√3なので約115mとなります
そして海流の影響でラインの弛みが発生するので、ライン放出は水深+30〜40m
逆算すると、ライン角度30°の状況で正確にタナを通す場合は…
必要なライン放出は水深+50m前後必要となります
(水深+15mと弛み分30~40mで)
額面通りの潮の弛みを無視してライン放出をしていると、指示ダナの上層しか探れなくなってしまいます※釣果減退は想像に難しくないです
…とこんなこと考えながら、初心者が釣りをするのは厳しいものがあります(笑)
ジグアクションの限界

上げ・下げどちらも支配下におきたいです
筆者の体感なので参考までにしておいてください
今までの経験で”ライン角度45°の状況は、ほとんどジグのコントロールは出来ない”と考えています
ラインにドラッグ(水圧・抵抗)が掛かった状態で、ジグが常に横に引っ張られているので…
ロッドアクションをしたところで『飛ばす・落とす』といったコントロールがほとんど出来ません
釣れるかもしれませんが、自分で”喰わせてやった感”が薄まります(笑)
ジギンガ―なら”喰わせてやった感”は大事ですよね^^
・魚の習性・特徴
このバランスが取れているのは30°~35°くらいだと感じています

ちなみに外房の浅場のジギングはこの限りではないのでご了承ください
精度を上げて釣果UP
どうでしょうか?
実際に発生する事象を考慮しての、計算方法ではないでしょうか
「こんなややこしいことしなくても釣れた」
-という声もあると思いますが、この釣りはマグロ族の回遊レンジでいかにして遭遇率を高められるか?がキモとなるので、レンジを正確に広く探れることはそのまま釣果に直結します
自分だけ釣れない場合はほとんどタナボケが原因なので、ご紹介した内容をぜひ参考にしてみてください
二枚潮よりも三枚潮はさらに難易度が上がります…(笑)
まとめ
・計算式を頭に入れておく
・水圧と水流を考慮する
・コントロールの限界を知っておく
-と、散々ネット上の情報にダメだしするカタチとなりましたが…
今回記載した内容はその方たちも“十分理解した上で、簡素な情報を掲載している”という点は筆者も承知しています
わかり易く・簡単にイメージできる情報の方が、初心者はわかり易いので釣りにも集中できますからね^^
筆者としては、そういう方たちが載せきれなかった情報を今回は記事化してみました
巷の計算方法とこの考え方で、ビンチョウが沢山釣れてくれることを願っています^^


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