【過信は禁物】マグシールド搭載なのに内部に海水!?ブラストLT5000D-CXH整備

知人から『クラッチの調子が悪い』ということで、リールを預かりました

見た目はきれいな18ブラストLT5000D-CXHですが、たまにクラッチが逆転するそうです
(三大ダイワ疾病のひとつですね)

また巻き心地も若干コロ付き始めていました

『サクッと開けてクラッチの様子を見つつ、必要ならオーバーホールかな』

－と、楽観していましたが…

開けてびっくりというやつでした…

《注意》
今回の内容はダイワファンの方には刺激が強い可能性があるので、ご納得いただきご覧ください
そうでない方はここでブラウザバックをおすすめします

必要な工具
分解作業
不具合箇所
洗浄作業
パーツ点検
グリス塗布
組み上げ〜完成
評価

必要な工具

・ピンセット
・+ドライバー#0#1#2
・メガネレンチ12mm
・精密六角ドライバー0.97mm
・千枚通し(まち針)
・ベアリングリフレッシュキット
※その他、清掃用具は割愛

分解作業

油面は張っています

すいません…
ローターまで勢いで外してしまったので、画像を取り忘れていました

ローターを外す前にスプールメタル(台座)を外さないといけないのですが、センターシャフトにねじ止めされています

【ベッセル VESSEL】ベッセル TD-53 精密ヘックスドライバー対辺0.89 VESSELが無いと作業できないので、ご注意ください
200~300円くらいで買えるので、ご自身でメンテナンスする方は買っておくと良いと思います

これはひどい…

マグシールドを取り外すと…
クラッチレバー付近に塩が堆積していました…

ボディ内部が無事なはずがないので、フルオーバーホールコースとなりました

接着面が荒く、いまにも解けそう

廉価モデルはマグシールド部は”シール”です

ボディカバーのネジを緩めます

これ以上は見たくないです…

なかなかすごい光景です…

ダイワ機の小型スピニングはこの状態ではドライブギアが抜けません

オシレートギアシャフトに六角リングで固定されているので、そのリングを外す必要があります
※極細の千枚通しやまち針などで、うまいこと外します

被害状況の全貌が…

無事にドライブギアが抜けました

ダメージが大きいです

グリスの油分が抜け掛かっており、センターのカムギア歯は腐食で黒ずんでいます

腐食が激しい

メインシャフトの下部も腐食が強いです

不具合箇所

クラッチ洗浄後。茶色いものの正体は？

原因は…
クラッチ部に茶色いオイルらしきものが回っていました

マグオイル油糧は十分ですが…

またマグシールドが活きているにも関わらず、クラッチハウス内に塩が堆積していました

これがボディ内部に滴ったことで、ボディ内部の金属パーツが侵されていました

【対策方法は…】
半年〜一年のペースでメンテナンスに出すしかないです

これを見る限りでは…残念ながらダイワさんの謳っている『100年先も変わらない…』というのは、誇張と言わざるを得ないです

洗浄作業

ギアAssyで7,200円

ピニオンギア・ドライブギアの歯面に強い摩耗痕が見えます
進入した海水により塩の粒子が研磨剤のように作用している影響です

メーカーなら交換と言うでしょう

オシレートギアとメインシャフトも摩耗と腐食で痩せてしまっています
またオシレートギアの凸部もいびつになっています
※オシレートの動作がガタつく原因になります

シャフトは塩害に強く、腐食や傷はありません

洗浄はいつも長期戦です

ボディも手間はかかりましたが、きれいになりました

パーツ点検

Before

ここまで腐食＆摩耗したパーツで組み直しても巻き心地は絶対に戻りません

Before

浸水による腐食と塩害錆で駄目になっていたパーツは下記の通りです

SLP社Webサイトより

パーツNo.	部品コード	部品名	単価	備考
60	171：563	メインシャフト	1,500	※
69	106：176	オシレートギア	800	※
54	138:A66	ピニオン+ドライブギア	7,200	※
56	–	ベアリング	700
52	–	ベアリング	700
81	–	ベアリング	700
		合計	11,600