御蔵島釣行にご一緒していたお客さまから、リールのメンテナンス作業の依頼を受けました
『半年ぶりに出してみたら、ハンドル回転が重くなっていた』
ーということで、釣行終了後そのままお預かりとなりました
半年前の段階で、メーカーオーバーホールに出してから一年も経っていないようでしたので、この異常の原因は何だったのでしょうか?
今回は画像多めですので、ご了承ください
それでは点検いってみましょう!
分解作業開始
ローターまではとくに何もなかったのでサクサク進めます
状態の悪いものはこの辺がグリスと海水が飛び散っていますが…この機体は問題ありませんでした
ボディを割る前に早速原因が分かりました
ハンドル側のマグシールドBBがサビに侵されていました
エンジンプレート側もやられています
(直接的な原因はこちら側なのですが…)
ですが、反対側の防水キャップ側は何の被害もありません
ボディ内部はこんな感じでした
ピニオンギアのグリスが落ちてしまって、フリーシャフトに付着しています
ドライブギアはグリスも十分に残っていて、歯面を保護している状態です
ピニオンギアのグリスは少ないですが、油分が残っているのでセーフでした
ドラグ部の分解
ちょっと水分が侵入している様子ですね…
カーボンディスクはだいぶピタピタです…
こうなってしまうと、グリスが正常に機能しなくなるので要注意です
上から下まで浸水していました
パーツ洗浄
隅々まで洗浄して、可能な限り汚れを落とします
ボディはピカピカに仕上げておくと、次にトラブルが発生しても原因の特定がし易いです
メインシャフト各パーツ異常なし
クリアランスが大きくなってきたら、Oリング交換やパーツASSY交換です
今回は異常なし
マグシールドBBが防水してくれていたことで
ドライブギアに腐食や錆は見当たりません
ピニオンギアも異状なし
汚れと水分を洗浄しました
クリーナーで洗浄してから乾燥させます
ラインローラーはマグシールドBBなので、注油はしませんが…
ハウジング外周にゴミが溜まっているケースが多いです
しっかりと清掃します
組み上げ
D社SWスピニングリールと相性の良いDG13を塗布します
グリスを塗布して組みます
仮組しながら動かして、異常がないか何度も確認しながら組み上げます
やれるところまで錆を落としました
見た目は腐食が多いですが凹凸が無くなりました
この調整ワッシャが錆びる→マグシールドBBが錆びる
-というケースがほとんどですね
点検をこまめにしてワッシャが錆びていないか確認したいです
ガワに錆が見られますが、動き自体は問題なし
マグシールドBBはこれだから凄い…
ただコレが交換となると1個あたり4,000円
ラインローラー1個、ドライブギア2個
ベアリング3個で合計12,000円(汗
ダイワさんもう少し何とかならないでしょうか。。
クリアランスを確認し、ワッシャ調整を何度も行って丁度良いところを探します
最後にUTDグリスを塗布して作業は終了です
使用グリス
シマノ純正のSW向けギアグリスです
私の経験上、意外にもダイワ製オフショアリールと相性が良いので採用しています
純正グリスでありながら、完成度が高く
巻き心地が気持ち良い点も特徴です
唯一ダイワが販売しているドラググリスです
今回の機体は、、
・ボディが15ソルティガ
・スプールは10キャタリナ
-でしたので、ドラググリスはUTDグリスを用いました
メンテナンス性を考えるとATDグリスを飛ばしてしまい、UTDグリスにするのも個人的にはアリだと考えています(無論、自己責任となりますが…)
ATD特有の粘り感は減りますが、ずっと整備していないATDグリスを使うくらいなら…頻繁にメンテナンスしているUTDグリスの方がドラグ性能は発揮されると思いますよ
-なので、ダイワさんATDグリスの市販をお願いいたしますね
動画
マグシールドBBが増設されている以外、ほとんど10ソル系統と同じ手順で分解できます
文章が苦手な方はこちらも参考にしてみてください
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